会社員として生活していると意識することはありませんが、当たり前のように所得税を納税しています。
そして12月や1月になると「年末調整」という名目で税額の調整がされ、会社からは「源泉徴収票」というものが渡されます。
もらっても使うことがあまりない「源泉徴収票」ですが、いざ使う必要があるとき紛失などしてなかったらどうすれば良いのでしょうか?
この記事は
・どんな時に源泉徴収票は使うものなの?
・源泉徴収票には何が書いてあるの?
源泉徴収票とはどんなものなのか?
就職後に一つの会社で勤め続けていれば、年に1度1枚だけもらう「源泉徴収票」ですが、それはどのようなものなのでしょうか?また何が記載されているのでしょうか?
源泉徴収票に記載されている内容
源泉徴収票は所得税法第226条により規定されている法定調書です。給与の支払い者(会社)が原則2通作成し、1通は税務署へ、1通は給与の支払いを受けるもの(受給者)へ交付しなければなりません。
その内容ですが、受給者の住所や氏名、生年月日などと、支払った給与の総額や所得控除した金額、最終的な年間所得税額などが記載されています。
なお支払われた給与の総額ですが、所得税が非課税となる範囲の通勤手当は含まれませんので、給与明細の総支給額の合計とは必ずしも一致しません。
通勤手当って所得税が掛からないのね。
全部が非課税ではないのですが、合理的な通勤に関わる通勤手当は「実費弁済」ということで非課税です。
また年の途中で退職した方へ交付される源泉徴収票ですが、個人情報以外は支給総額・源泉徴収税額・社会保険料等の金額の3つしか記載されていません。
源泉徴収票はいつもらえるのか?
所得税法で交付が義務付けられている源泉徴収票です。ではいつまでに交付されなければ(いつもらえるのか)ならないのか?
交付しなければならない時期は次のように規定されています。
受給者区分 | 交付すべき時期 |
年末に在籍又は退職したもので年末調整したもの | 給与の支払いをした翌年1月31日まで |
年の途中で退職したもの | 退職した日から1か月以内 |
源泉徴収票はどんな時に使うものなの?
働いていれば毎年もらう「源泉徴収票」ですが、中には一度も利用する機会がない方もいるでしょう。ではどんな時に使うのでしょうか?
住宅ローンやカードローンの申込
「源泉徴収票」は個人の所得を証明する重要な書類です。住宅ローンやカードローンの申し込みをするとき、銀行などに提出を求められることがあります。
また2010年に完全施行された貸金業法の「総量規制」(簡単に言うと、借り過ぎて多重債務者にさせないための規制)によって、クレジットカード会社から提出を求められることもあります。
転職したときに再就職先に提出
年の途中で転職などをした場合、新しい就職先で年末調整をする際に提出を求められます。
これは年末調整をする会社が、受給者の前職分を含めて年税額の計算をするためで、これによって受給者個人は何の苦労もなく所得税の計算が終わります。
提出が必要な源泉徴収票ですが、あくまで「その年」の分なので、例えば今年(令和2年)に再就職した場合は、令和2年分の源泉徴収票だけを提出しましょう。
確定申告をしようとするとき
とくに変わったことが無ければ「年末調整」で会社員の所得税は確定し、会社から税務署や市町村へ法定調書が提出されて全てが終了します。
しかしマイホームを購入した最初の年や、入院などして多額の医療費が掛かった場合など、確定申告をして税金の還付を受ける時にも「源泉徴収票」は必要です。
また年の途中で退職し、再就職が決まらなかった場合も、確定申告をすることにより税金の還付を受けられる可能性があります。
源泉徴収票は再発行してもらえるのか?
ここまで説明したとおり、多くはないとはいえ「源泉所得税」を使う場面はあります。では複数回使う場面があったり、紛失してしまった場合、再発行はされるものなのでしょうか?
結論から言うと「再発行」してもらえます。
実際に何度でも再発行してもらえますし、会社はその求めに応じなければならないのですが、場合によっては言いずらいこともあるでしょう。
例えば1度ならまだしも何度も「紛失したのでください」とか、あまりよろしくない辞め方をした前の会社には言いずらいものです。
しかし受給者の権利なので、必要であればしっかりと交付を求めてください。ただし総務や経理の方に余計な手間を取らせていることはお忘れなく・・・。
まとめ
「源泉徴収票」は頻繁に使うものではありません。しかし「いざ使う」場面で慌てないように、また会社員であっても所得税の納税者の1人として、「源泉徴収票」がどんなものなのか知っておくべきです。
会社勤めを続ける限り毎年目にする「源泉徴収票」ですが、紛失などしないよう大事にとっておく習慣を身につけましょう。それが「再発行」を避ける近道ですから。