いままで何の経験もなく「じゃ、仕訳を起こしてください」などと言われても出来るわけはありません。そりゃそうです。
経理の世界の基本は「貸借」という、左と右しかない理屈で成り立っています。それを理解するにはどうしたら良いのか?
この記事は
★資産や負債、益金や損金って何?
経理の絶対的な原則「複式簿記」
もう語るまでもないことですが、経理に携わったら「複式簿記」が絶対的な法律であり、それにあがなう手段などありません。
その「起源」など語っていたらキリがないので説明しません。興味があったら調べてみましょう。複式簿記(Wikipedia)
そんな「複式簿記」には左側に”借方“、右側に”貸方“とあります。最初は「左右どっちなんだよ!?」と迷うものですが、一つの事実さえ覚えたらあっさり理解できます。
僕も最初は「右も左も」分かりませんでしたよ。
その「右も左も」って経理だけの話じゃないよね(笑)
全ての基本「現金どうなる?」
最初にして絶対覚えておくことは「現金(預金)はどうなるの?」ということです。現金(資産)は増える場合は借方(左側)、減る場合は貸方(右側)にくることだけは絶対覚えましょう。
それさえ覚えておけば、大体の仕訳はおのずと出来てしまいます。例えば「売上高」という科目は左右どちらにくるでしょうか?
売上が発生すると現金が増えることは解りますよね。ということは現金が増えるので借方へ現金がきて、逆の貸方に「売上高」という科目がきます。つまり「売上高」(益金)の発生は貸方だということです。
これを理解すれば「右、左」で悩まなくて済みますね。
また消耗品を買った時は、それを買うことによって現金が減るので貸方に現金、そして「消耗品費」(損金)という科目は借方にきます。
これを応用すると、左右に迷う事はなくなることでしょう。
慣れてきたら世界が広がります
先ほどの基本が身についてきたら、会社で起こっている取引がどんどん仕訳られるようになってきます。
基本的なことが出来てきたら、その取引の根幹について考えるようにしましょう。例えば商品を仕入れるとします。その商品(10万円相当)が現金と引き換えなら
金額 | 借方 | 適用 | 貸方 | 金額 |
100,000円 | 仕入高 | 商品仕入れ | 現金 | 100,000円 |
こんな仕訳になります。ところが商品代金は後払いの場合は
金額 | 借方 | 適用 | 貸方 | 金額 |
100,000円 | 仕入高 | 商品仕入れ | 買掛金 | 100,000円 |
このように貸方に「買掛金」という(流動)負債科目が発生します。
この負債科目の発生が貸方(右側)にくるのは、以下の仕訳を見れば一目瞭然です。
金額 | 借方 | 適用 | 貸方 | 金額 |
500,000円 | 現金 | ※※から借入 | 短期借入金 | 500,000円 |
※※から50万円を短期間借入れた際の仕訳です。そう負債が増えると現金が増えます。だから負債科目の発生は貸方なのです。
勘定科目の種類
事務や経理をし始めのときは難しい仕訳はしないでしょう。勘定科目も種類は多く、それらもいずれ慣れてくるのですが、かなり大雑把に分けると4種類に分けられます。
それは「資産」「負債」「益金」「損金」の4つです。これらが普段の取引を仕分けする際の4天王と言ってもイイくらいです。
随分「専門的っぽい言葉がでてきましたね。
こんな言葉も慣れたら普通になりますよ。
「資産」
最初に説明したように資産は”全ての基本”です・・・だって目に見えやすいから。現金や預金はもちろん、土地や建物はたまた車両も全部「資産」です。
ただ目に見えない資産も沢山あり、「権利金」や「商標権」などは形としては見えにくい「資産」です。
資産には区分があり、現預金や商品に代表される「換金しやすい(と言われる)」流動資産や、換金しにくい固定資産や、投資等と言われるものまで種類が多いのが特徴と言えるでしょう。
ただ基本的な考え方は「現金」と同じで、増える場合は借方なのです。
「負債」
なんとも嫌な響きの「負債」ですが、先ほどの「資産」と対を成す勘定科目です。代表的なものは「借入金」や「買掛金」「未払金」などです。
金を借りた「借入金」。ツケで商品を買った「買掛金」や「未払金(未払費用)」がなどがその内容です。
先ほどの「資産」ほどではありませんが、支払期限が2年以内に到来する「流動負債」と、しれ以上長い期間の「固定負債」の2種類に分かれます。
「益金」
「益金」と書くと馴染みが薄くなりますが、簡単に言うと「収入」です。代表的なものでは「売上金」や「雑収入」です。
当り前ですが「資産」を増やすものなので、発生は貸方になります。
「損金」
簡単に言うと「経費」です。先ほどの「益金」と対を成しており、ということは当然発生は「借方」になります。
この「損金」は種類が多く、経理初心者にとって頭を悩ますのは「この支出はどの勘定科目にするの?」ということでしょう。
常識的に判断できるもの以外については、聞く前に過去の仕訳を見たり総勘定元帳を見るなり、自分で調べることが成長への近道です。
まとめ
経理にとって帳簿のもっとも基本的なことを解説してきました。慣れて後になれば「なんであんな事分からなかったのか?」と思うようなことも、最初は誰でも出来ないものです。
途中も触れましたが、何でも聞く前に「自分で調べる」という習慣を身に付けましょう。そのほうが身になります、確実に。
少しづつ成長していけばスキルも上がり、やがて事務職としての”強み”となります。そうなって不景気にも負けない事務職を目指すことを祈っております。