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【経理初心者】法人とは微妙に違う「個人事業」の経理と確定申告を解説

仕事

経理職をしていると意外と出会わないのが「個人事業」の経理です。というのも、ある程度事業規模が大きくなると「法人」へ移行するケースがほとんどで、「個人事業」の場合は比較的小規模のところが多いからです。

つまり小規模事業所の場合は専属の経理を募集するということも少なく、「雇われ経理」として出会う機会が中々ありません。

しかしいつ出会うか分かりませんし、もしかしたら貴方自身が「個人事業主」になるかもしれません。

そこでこの記事は

★個人事業の経理の特色とは?
★青色申告ってなに?
★個人事業の経理をする上での注意点は?

こんな疑問にお答えする記事となっています。

法人事業と個人事業の違い

事業(商売)を始めようとするとき、その始め方で法人か個人か違いがあるように経験上思っています。あくまで経験上ですがね・・・。

いきなり「法人設立」して事業スタートする方

最初から法人を設立して事業を始める方は、ある程度”事業をする上での基盤”がある方や、”見栄っ張りの方“が多かった印象があります。

前者の方の場合、ある会社に勤めていて業務経験も豊富で、独立時にある程度の顧客や売上を見込めているケースがほとんどです。そんな時一定以上の年齢の方に多いのですが「法人の方が社会的信用を得られる」と思われがちです。

また見栄っ張りの方も同様の考えが多く見受けられました。

法人の場合、赤字でも均等割りという地方税が課税されるし、少し考えた方が良いでしょう。

しかし実際のところ単に法人だからと言って無条件に信用を得られるわけでもなく、平成18年に「最低資本金制度」(株式会社は最低1,000万円、有限会社は最低300万円の資本金が必要)が廃止され、今では資本金1円でも設立可能になりました。

 

しかも実際のところ「資本金」は会社設立時にあったとしても、そのまま会社に留め置かれている保証はありません。昔は「見せ金」を銀行に一時保管して会社を設立するケースもたくさんありました。

「個人事業」で始める方

これも個人的な印象なのでしょうが、「個人事業」としてスタートされる方は「イマイチ売上に自信が持てない」とか「とりあえず基盤もなしにゼロからスタート」というイメージがあります。

それ以外にも実は緻密に計算されていて、消費税の納税義務を少しでも先延ばしにしようとして「個人事業」からスタートされる方もおられます。大したものです。

 

というのも消費税は基準事業年度(前前年)の売上が1,000万円を超える年から課税されるので、事業を始めた1年目と2年目は消費税の課税義務がありません

ということは”もらった消費税”は全部懐に入るわけです。そして3年目のスタートから法人化すると、(条件はありますが)さらに2年間”消費税”が懐に入ることとなります。

これってかなり大きな違いです。仮に最初の4年間の課税前売上が5,000万円あったとしたら、消費税として頂く500万円が懐に入るのです。

基準事業年度1,000万円以下の事業者を含め、これが「益税」として問題視されていることなんです。

個人事業の経理の特色

「個人事業」といっても実際に経営されている事業主(経営者)によって違いはあります。逆に「法人」であっても「個人事業主」以下のケースもあるわけです。

とはいえ一般的に言うなら、個人事業の場合「生活費や個人的支出と経費の区別がつきずらい」と言うのが最大の特徴と言えます。

特に貸借対照表の提出が必要な「青色申告」を選択すると、区別しなければ財務諸表を作れないので大変ですね。

事業用の通帳と、個人用の通帳を完全分離したケース

この場合はほとんど法人の経理と変わらないと言えるでしょう。こんな「個人事業主」に出会えたら幸せというものです。

ただ「個人事業」の場合は「役員報酬」(経営者の給与)という概念は存在しないので、この点は覚えなくてはなりません。給与ではなくても事業主が「毎月給与(生活費)として50万円」貰っている場合、その金額は「給与」という経費ではなく、「事業主貸勘定」という科目で処理することとなります。

簡単に言うと「経営者への貸付金」みたいなものです。

逆のケースもあり、事業用資金が足りなくて事業主からお金を貰った場合は「事業主借勘定」という「経営者からの借入金」として計上します。

しかし公私をしっかり区別した経営者であれば、このあたりの悩みは比較的少ないと思います。

どんぶり勘定の経営者の場合・・・

だらしのない経営者は多いもので、「個人事業主」ともなれば一昔前は「どんぶり勘定上等!」が当り前だった印象があります。

この手の人に多い特色として「払ったものは全部経費だろ!」と、経理からすると「はぁ~?」というトンデモない主張をする方が多いことです。そう平気で「個人的支出」の領収書を「経費で落とせ」と言うのです。

しかし個人的支出は「事業主貸勘定」なんです。

とはいえ先ほど言った通り、何も個人事業主だけがそうなのではありません。実際会計事務所に勤務していたころ、ある法人の社長が百貨店へ払った支出を「贈り物なので交際費」だと言うのでそう処理したところ、税務署の反面調査(支出先や売上先など相手を調べること)で、「はぁ?自分のスーツじゃん!(怒)」となったこともあります。

日本では中小零細法人が多く、もう「個人商店」レベルの法人がたくさんあります。なので、こんなお粗末な事例も多いのですね。

ホント、わがままな方が多いですよね。

ここらへんの事は経理として「これは経費として認められません!」と、経営者と対立っぽいことになるので面倒ですし嫌な場面ではあります。

青色申告・・・とは?

Final return: Japanese tax form with keyboard

経理に携わってれば必ず聞く「青色申告」ですが、これって何なのでしょうか?実は法人でも青色申告じゃなくて「白色申告」ってあるんです。

「青色申告制度」

この「青色申告制度」は事業所得・不動産所得・山林所得を持つ個人及び法人が、所轄税務署に申請し承認されることで受けることが出来る”特典”です。

ほとんどの法人は青色申告なのですが、過去に何度か「白色申告」の法人を見たことがあります。当たり前に名前は言えませんが、「ちょっと酷い脱税」をして青色申告の承認を取り消された法人です。

それはともかく、個人事業の場合は「正規の簿記の原則による記帳を行っている不動産所得者(事業的規模に限る)および事業所得者」であれば、「青色申告特別控除」として65万円も引かれるので、絶対申請すべきものです。

それ意外にも、以下のような特典があります。

・少額減価償却資産特例(一定の要件で30万円以下の資産損金算入)
・青色事業専従者給与(家族の給与の損金算入)
・欠損金の繰越控除(損失を翌年以降の所得から控除)
・貸倒引当金の計上
しかし何と言っても「青色申告特別控除」の恩恵は大きいですし、個人で事業を始められる方は経理が面倒でも青色申告を選択しましょう。

65万円控除の要件をクリアしよう

昔の「手書き帳簿」ならいざ知らず、今は会計ソフトも”結構”お安く導入できます。何と言っても経理が苦手、もしくは面倒な方にとって最大の障壁は「貸借対照表」じゃないかと思います。

しかし例えば「弥生会計」だったり「勘定奉行」だったり、経理ソフトを使えるようになれば、そんな問題も解決してくれます。

また経理を雇うのは「ランニングコスト」の増加を招くので、確定申告の時だけ経理部文を「外注」するのも良いことです。

一番手っ取り早いのが「税理士」に依頼することです。ただ、あの人たち「顧問契約」をしたがるのが面倒なことでしょうか。正直なところ税理士事務所は当たり外れが大きいのが実情で、すぐに「顧問契約」などしないでください。

あたかも結婚のようですが、出会って「すぐ結婚」とならないように、税理士や税理士事務所もある程度付き合ってから契約するか否かを判断しましょう。

確定申告へ挑む

「挑む!」なんて書きましたが、「損益計算書」と「貸借対照表」まで出来たら簡単なことです。というか申告業務までいくと「税理士の専権業務」となってしまい、これは完全に”既得権益”なんです。
財務諸表が出来てしまえば確定申告など簡単なことです。
確定申告書への記載は「損益計算書」の収入と最終損益を記載するだけで良いのですから、何も恐れず「自分で申告」することをオススメします。

余談ですが「税理士による既得権益」とは?

私も色々と経験して、色々と会計事務所や税理士事務所(税理士法人)を見てきました。特に税理士業界は既得権を守ることに汲々としていて、無資格者への締め付けは凄いものがありました。

「そりゃ無資格ならね」と思われるのは当然ですが、税理士の中に占める”税務署OB”や”国税局OB”のなんたる多いことか。

あまり書くと差しさわりがあるのですが、今から20年以上前なら税務調査にやってこられた”けっこう退職間近”な調査官は引退後の税理士業務を考えてか「じゃ、ここらへんで手を打ちましょう」ってありました。
今の税務署の方々はそんなこともないでしょうし、むしろ悪徳OB税理士なんぞは「最近の税務署職員は生意気だ!」などと、無理筋な怒りを感じているようです。
頑張れ国税及び税務署職員たち!

まとめ

話がそれがちでしたが、法人と個人の一番に違いは「個人的支出」が多いことに尽きます。そこをどう仕訳するか、経理職人としての真価が問われるのかもしれません。

これから「確定申告」のシーズンを迎えますが、どうか正しい財務諸表をつくり正しい申告を補助することを願っております。

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