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【BMW】賛否両論のBMW1シリーズの変遷と、FRの価値とは?

自動車

自動車を好きになるとFR(フロントエンジン・後輪駆動)に興味を持つ時期があったものです。もしかしたら、そんな考えを持つ時代というのは過去のものになったのかもしれません。

自動車メーカーにとってみたら、部品点数が多くなりコスト面でも不利となることから、小型車のほとんどはFFやFFベースの4WDとなってしまいました。その流れをまざまざと見せつけられたのは、現行型BMW・1シリーズのFF化ではないでしょうか。

そこで今回はBMW・1シリーズの変遷を追いながらFRというものを考えたいと思います。ちなみに個人的な思い入れが多くなることをご容赦ください。

2代目モデルまでのBMW・1シリーズ

BMWと言えば「駆けぬける歓び」を標榜する”走りに振った”メーカーであることは、世の中の車好きの95%くらいは知っていることです。

そして1シリーズは歴史は浅いものの、そんなBMWのボトムレンジを担う5ドア・ハッチバックモデル(ドイツでは3ドアもあったようですが)です。Cセグメントゆえ、ちょっと寸詰まりのボディに、しっかりとギドニーグリルが主張しているその姿は「ブサカッコいい」と、個人的には感じてしまいます。

まずは1シリーズの変遷を追ってみることにしましょう。

初代モデル(E87/E81)

引用: Wikipedia

初代モデルが登場したのは2004年で、10月には日本でも販売が開始されました。それまでBMWのボトムレンジを担っていた3シリーズ・コンパクト(E46コンパクト)の実質的な後継車種で、116i(1.6L直4)と118i・120i(2.0L直4)に6速ATを組み合わせたモデルです。

2005年にはBMWの代名詞ともいえる、3.0L直列6気筒エンジン(シルキーシックス)搭載の130iも追加されました。

ラインナップはともかく、この1シリーズ最大の特徴が「Cセグメント唯一のFR」ということで、これこそが1シリーズ最大の存在価値・・・だと思っていました。

Cセグメントは、ひと言でいえばゴルフのいる組。つまり、ヨーロッパでFFハッチバックの中核となる組です。

引用:Gooワールド

個人的なお話ですが

この初代1シリーズですが、実は購入一歩手前まで行ったことがありまして、中古でしたけれどもホンダ系のディーラーへ実車を見に行きました。もちろん指名買いのつもりで。

ところがディーラーの若いセールスと話をしていると、(私がサンデードライバーだったからか)そのセールスが「それで1シリーズは絶対高い買い物ですって!」と、なぜかしら止めてくれました。まあ、良かったのか悪かったのか・・・?

結局のところ彼のオススメのミニも蹴って、最終的にゴルフ(4代目モデル)にしたのですが、それ以来フォルクスワーゲンを乗り継いでいるので、ホント分からないものです。。

あの時BMW1を買っていたら人生が変わっていたのか?何となく気になりながらオッサンになりました。

 

ちなみに初代モデルの出来

当時でもそうでしたが、Cセグメントの車って実用性があって当たり前だったのですが、BNWの1シリーズはそんなものを無視して(ってわけでもないでしょうが)、FRの気持ちよい走りを優先してくれたのです。そりゃ喜ぶ人が多かったのも当然です。

ちなみ内装は・・・チープでした。っていうか内心「この金出して、これなのか?」というのが本音でした。結局買いませんでしたが。

しかし、何といってもこの車体に3.0L直列6気筒エンジンを突っ込むところにロマンを感じました。これはゴルフの車体に3.2LのV6エンジンを突っ込んだ「R32」にも通ずる、なんとも破天荒なものです。

そして2011年に、後継モデルへバトンを引き継ぎます。

BMW・1シリーズ(初代E87・最後期)
全長 4,240mm
全幅 1.750mm
全高 1,430mm
車両重量 1,350kg~1,530kg
BMW・1シリーズ(初代E87・最後期)
モデル 排気量 エンジン 最高出力 最大トルク
116i 1,597cc 直列4気筒DOHC 122hp 16.3kgm
120i 1,995cc 直列4気筒DOHC 170hp 21.4kgm
130i 2,996cc 直列6気筒DOHC 258hp 31.6kgm

最終スペックが上の通りですが、今から見るとNAエンジンらしい大人しい性能に見えてしまいます。

2代目モデル(F20)

引用:Wikipedia

日本では2011年9月からBMW1シリーズの2代目モデル(F20)が投入されました。先代より長くワイドなボディとなり、内装の見た目も数段良くなりました。

1シリーズもこのモデルから、「アイドリングストップ機構」を搭載したり、「ブレーキ・エネルギー回生システム」を採用したり、ちょっと今の車に通ずる新機能を採用しましたが、やはり最大の魅力はFRレイアウトということに変わりはありません。

この時期あたりからCセグメントの車の「大型化」「高級化」が随分と進みましたよね。

ほんとにそうです。今では昔でいうところのDとかEセグメントくらい高級・・・というか、高価な車になってしまいましたね。

デビュー当初の日本では、ともに1.6L直4ターボエンジンでチューニングを変えてある116iと120iの2モデルが発売となりました。よく言うところの「ダウンサイジング・コンセプト」というやつで、小排気量ながらターボとの組み合わせで大排気量エンジンと同じような特性を出せるのです。

走りもFRならではの素直な操縦性で、さすがに3シリーズなんかと比べるのは野暮ですが、運転していて楽しい車です。

くどいようですが、セグメント唯一のFRでしたからね。

2017年のマイナーチェンジでさらに内装も上質になり、当時すでに「次期1シリーズはFFになるらしい」という噂も出ていたことから、好きものからは「買うなら今かも?」と思われていたモデルです。

BMW・1シリーズ(2代目F20・最後期)
全長 4,335mm
全幅 1.765mm
全高 1,425mm
車両重量 1,400kg~1,420kg
BMW・1シリーズ(代目F20・最後期)
モデル 排気量 エンジン 最高出力 最大トルク
118i 1,498cc 直列3気筒DOHCターボ 136ph 22.4kgm
118d 1,995cc 直列4気筒DOHCディーゼルターボ 150hp 32.6kgm
120i 1,998cc 直列4気筒DOHCターボ 184hp 27.5kgm
M140i 2,996cc 直列6気筒DOHC 340hp 51.0kgm

ターボの力を借りて動力スペックは大幅に向上しており、ぐいぐい加速しながら爽快感を味わうにはうってつけで、この2代目モデルは「少々雑でも、駆けぬける歓び」を体現しているモデルでしょう。

FRの良し悪しと、BMW1シリーズの3代目

用:BMW公式HP

BMW1シリーズの2代目モデルまで振り返りましたが、ここまではCセグメント唯一のFRモデルの魅力を正常進化させてきた歴史(ってほどの期間じゃありませんが)です。

そしてついに3代目モデルが2019年9月に投入されました。そう噂どおりFFで

ここからは「なぜFRが(一部の)人を魅了するのか?」を考えながら、3代目となったBMW1シリーズについて見ていくことにします。

FRの魅力って何なのか?

よく自動車雑誌などを見ると「FRならではのコントロール性の高さ」や「フィーリングが良い」なんて記述を見かけますが、たしかに車の構造上の特性を考えると理論上は理解できます。

しかし、そんなもの「乗ってみなけりゃ分からない!」というのが真実です。ところが残念なことに、現在ではFR車の選択肢は一部のスポーツモデルか高級セダン・ステーションワゴンでしか見られません。まあ軽トラにはありますが・・・。

まずはドライバーにとってのFRの魅力について考察します。

圧倒的に気持ちの良いドライブフィール

FRはその字のとおりフロントにエンジンを搭載し後輪が駆動するので、よく言われるように前輪は操舵(車の向きを決める)を、後輪は駆動(車を進める)をと、役割が分かれています。

それによるドライブフィールはホントに「乗ってみて分かってほしい」としか言えないのです。そんなにギュンギュンに飛ばさなくても、交差点やカーブを加速しながら曲がっていくのが一番分かりやすく、その瞬間「あぁ、押し出されてるぅ」という気持ちよさが分かる・・・はずです。

私は長年マツダ車の「RX-7(FC型)」に乗っていたのですが、特に当時は今ほどFF車のセッティング技術が高くなかったせいか、ドライブフィールに関してFRの優位性は明らかでした。


優れたコントロール性

これは限界の低さと裏腹なのかもしれませんが、FRで飛ばしていて破綻する場面の多くは車の後ろ、つまりテールがスライドすることです。

よほど超スピードでテールスライドしたら素人には無理でしょうが、ほとんどの場面でステアリングとアクセル操作で立て直せるコントロール性の高さはFRの大きな魅力です。

私は北国住みなので、冬道ではより一層安全にそれを味わうことが出来ます。なんたって簡単にテールスライドしますし、カウンターを当てアクセル開度で車の姿勢を制御する・・・ってのが自然に身につきます。

もちろん凍結路で少し上り坂だと、後輪が空転して前へ進まず冷や汗というのは「北国のお約束」ですが・・・。

FRのデメリットとは?

正直なところ限界が低いところや、特に冬道でトラクションが掛かりにくいところなど、そのようなデメリットを承知の上でFRを選択してなきゃおかしいのですが、想像するに大昔はカローラやサニーのような大衆車(と言われた車)もFRだったので、選択肢がないころはデメリットも負担に感じたことでしょう。

ところが今はFF車が自動車界の基本となり、FRというのは「そのデメリットを享受してでもメリットを味わう存在」という特殊なものになりました。

ところが自動車メーカーにとっては部品点数がかさみ、多くの一般ドライバーが苦痛に(?)感じていたFR車より、効率的で安上がりなFF車へシフトする流れが決定的となってしまい、あのBMWですらFF車を増やしていくという時代となってしまいました。

FFへのシフトのきっかけと、その流れ

現在のFF車の基礎を作ったと言われるのが1959年登場の初代「ミニで、それまで縦置きが当たり前だったエンジンを横置きにし、小さい車体で十分な室内空間を確保するという画期的なレイアウトを実現しました。

アレック・イシゴニスの設計で実現したこの方式では、エンジンの下にギアボックスを配置したもので、まだ完成の域には達していませんでした。

その発想を完成形に仕上げたのが、フィアットの主任設計者ダンテ・ジアコーサで、フロントの車軸上にエンジンとギアボックスを平行に配列し、ほぼ現在のFF車の基礎的スタイル完成させました。アウトビアンキ車での実用試験ののち、1969年「フィアット・128」として市場投入し、世界中の自動車メーカーの(超)絶大な影響を与えたのです。

そしてFF車が主流になるという方向は、1974年ジョルジェット・ジウジアーロのデザインによる傑作初代ゴルフ登場と、その世界的ヒットで決定的となったのです。

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で!3代目BMW・1シリーズはどうなのよ?

BMW社の発表によると「1シリーズの購入層の多くは駆動形式に拘っていない」ということで、まるで「だから1シリーズはFFにしたのだ!」と言わんばかりです。

っていうことは、3シリーズの購入層はFRに拘っているのでしょうか?なんて意地悪な質問をしたくなりますが、実際の声はどうなのでしょうか。

確かにCセグメント唯一のFRだった1シリーズのライバルは、「メルセデスベンツ・Aクラス」「アウディ・A3」「フォルクスワーゲン・ゴルフ」「ルノー・メガーヌ」「プジョー・308」・・・、どれもこれもFF車で、どうしていまさら同じ土俵に乗るのでしょうか。

そんなものBMW2シリーズ・アクティブツアラー(F45)に任せておけば良いのに・・・なんて声はBMWには届きません。

実際のところ現行型1シリーズの出来は良いようですが、その評価はあくまで「Cセグメントのプレミアムカー」として正当な評価なのでしょう。しかし一方で「1シリーズなのに」ということを引きずっている方からは酷評に近い声も聞かれます。

引用:BMW公式HP

良くなった点を上げて行くと、ライバルたちと同じように先進装備が充実しました。予防安全機能では、衝突回避・被害軽減ブレーキを備えた前車接近警告機能や、レーンチェンジウォーニング、パーキングアシストなどを標準装備し、インテリアも今流行りのデジタルコックピットとなりました。

BMW・1シリーズ(3代目F40)
全長 4,319mm
全幅 1.799mm
全高 1,434mm
車両重量 1,290kg~1,525k
BMW・1シリーズ(3代目F40)
モデル 排気量 エンジン 最高出力 最大トルク
118i 1,499cc 直列3気筒DOHC 140hp 22.4kgm
118d 1,995cc 直列4気筒DOHCディーゼル 150hp 35.7kgm
M135i xDrive 1,99cc 直列4気筒DOHCターボ 306hp 45.9kgm

尚、モデル名を見ても分かる通り、最上位グレードの「M135i vDrive」は4WDとなっていて、4気筒エンジンながら強力な力を発揮します。

とは言うものの・・・ですよ!FF化したことによりBMW伝統のシルキーシックスは搭載できないらしいのです。

恐らく3代目1シリーズの真の評価は、4代目へのフルモデルチェンジ(があればですが・・・)のときに分かるような気がしております。どうなることやら・・・。

まとめ

引用:BMW公式HP

FRという最大の特徴をかなぐり捨てて、なぜかライバルと同じ土俵に乗ってしまったBMW1シリーズですが、この車への思い入れの強弱によって賛否両論渦巻いているのが現実です。

FRが特殊な存在になりつつあるなか、さらにそれが加速しそうなBMW1シリーズのFF化でした。いい車なんでしょうが・・・というのが、今のところの偽らざる心境です。

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