車の部品の中で最も大事なものと言って良いタイヤですが、サイズだけではなく走行シーンに合わせたたくさんの種類があります。
見た目の格好良さを含め、愛車に合わせたタイヤチョイスをしたいものです。
この記事は
・車のタイプに合うタイヤって?
・メーカーごとのオススメのタイヤは?
タイヤの種類って何なのか?
車を買ったとき、もうタイヤは装着されています。当たり前のことですよね。中古車の場合は、基本的に前のオーナーが装着していたタイヤです。では新車の場合はどうなんでしょうか?
新車に装着されているタイヤは、メーカーやディーラーがその車種に合うタイヤをチョイスしているものです。では「合うタイヤ」とは何か?まずはサマータイヤの種類を見ていきましょう。
実は新車に装着されているタイヤは市販品とちょっと違うものなんです。
えっ?同じ商品名のタイヤでも?
そう一般に「純正タイヤ」といわれるものですが、その車の性能を発揮できるよう、自動車メーカーの要望を反映したオリジナルといって良いでしょう。
コンフォートタイヤ
まずご紹介するのは「コンフォートタイヤ」です。簡単に特徴を説明すると、走行時の静粛性にすぐれ、乗り心地の良いタイヤです。
細かく見ていくと「コンフォートタイヤ」の中でも、各メーカーが最新の技術を投入した「プレミアム・コンフォートタイヤ」という分類もあります。
実は後で紹介する「エコタイヤ」も広い意味で「コンフォートタイヤ」に含まれますが、ここでは主に「プレミアム・コンフォートタイヤ」をメインに解説します。
どんな車種がコンフォートタイヤとマッチするのか?
各社が最新技術でしのぎを削る「プレミアム・コンフォートタイヤ」です。値段もお高めなタイヤですし、新車への装着を見るとやはり高級車への採用が多く、セダンやツーリングワゴンへの装着が目立ちます。
ただし単純に行かないのが「タイヤの奥深さ」で、高級セダンでも走りに振ったような車種(例えばドイツBMW)だと、乗り心地が良い→タイヤ剛性が低い(柔らかい)→車の走行フィールが落ちる・・・などという事があります。
そうなんですね。単に「高級セダン」という思い込みだけじゃ判断できないのですね。
だからこそディーラーや詳しい方のアドバイスは大事なんだと思います。
しかし基本的には高級セダンなど、プレミアムな車にマッチしたタイヤだと言えます。
各タイヤメーカーのプレミアム・コンフォートタイヤ
タイヤメーカーが静粛性や乗り心地を競う「プレミアムコンフォートタイヤ」ですが、現在の主なラインナップを見てみましょう。
メーカー名・国 | 製品名 | 公式HP |
ブリヂストン・日本 | REGNO GR-XⅡ | ブリヂストンREGNO |
ヨコハマ・日本 | ADVAN dB V552 | ヨコハマADVAN |
ダンロップ・日本 | VEURO VE304 | ダンロップVE304 |
トーヨー・日本 | PROXES C1S | トーヨーPROXES C1S |
グッドイヤー・アメリカ | EfficientGrip Performance | グッドイヤーEG |
ミシュラン・フランス | PRIMACY 4 | ミシュランPRIMACY4 |
ピレリ・イタリア(注) | CINTURATO P7 | ピレリCINTURATO P7 |
コンチネンタル・ドイツ | PremiumContact 6 | コンチネンタルPremiumContact 6 |
※注 ピレリは現在中国資本傘下
スポーツタイヤ
コンフォートタイヤが乗り心地・静粛性重視だったのに対し、「スポーツタイヤ」はその名のとおり「車の走り」を追求したタイヤです。
当然マッチする車種もハイパフォーマンスモデルが多いのですが、実は「スポーツタイヤ」と言っても極端にグリップを追求した「ピュア・スポーツタイヤ」もあれば、少し街乗りを意識した「プレミアム・スポーツタイヤ」や「ストリート・スポーツタイヤ」もあります。
ピュア・スポーツタイヤ
ホントに走りを極限まで追求したタイヤで、特にドライ路面でのグリップ性能に特化したタイヤと言えるでしょう。
タイヤを見ても他のタイヤとの違いは一目瞭然で、とにかく一般的なタイヤと比べトレッド(溝に囲まれた地面と接する部分)の一つ一つがデカく、レーシングタイヤに近いタイヤです。
またあくまでグリップ重視のタイヤなので、耐久性や静粛性・乗り心地などは考慮されていません。目的は一つ「早く走ること」なのです。
プレミアム(ストリート)・スポーツタイヤ
ピュア・スポーツタイヤほど極端に走行性能を重視せず、多少は乗り心地などを考慮したスポーツタイヤが「プレミアム(ストリート)スポーツタイヤ」です。
先ほどのピュアスポーツがサーキット走行まで考慮したモデルとすれば、こちらの「プレミアム(ストリート)スポーツタイヤ」は公道での使用を前提としたモデルと言えるでしょう。
とはいえ実際に走るとハンドル操作に俊敏に反応し、コーナーリングでも腰砕けすることなくグリップ力を維持します。
これは言い換えると過敏すぎる反応と、ゴツゴツした硬い乗り心地ということになり、また「コンフォートタイヤ」や「エコタイヤ」と比べ圧倒的に減りが早く、なおかつお値段もかなりお高めとなります。
このスポーツタイヤって速く高い車に装着するのが正解なんですね。
ですよね。車も高いうえに、タイヤ代も高いとなると簡単に買えませんものね。
現実的にスポーツタイヤを装着する場合は、ほぼこの「プレミアム(ストリート)スポーツタイヤ」の中から選ぶことになるでしょう。
各タイヤメーカーのプレミアム・スポーツタイヤ
市販のスポーツモデルやハイスピード走行をするモデルに装着するのは、「プレミアム・スポーツタイヤ」が現実的な選択です。そこでそのカテゴリーのラインナップを見てみましょう。
メーカー名・国 | 製品名 | 公式HP |
ブリヂストン・日本 | POTENZA S007A | ブリヂストンPOTENZA S007A |
ヨコハマ・日本 | ADVAN Sport V105 | ヨコハマADVAN |
ダンロップ・日本 | SP SPORT MAXX | ダンロップSP SPORT MAXX |
トーヨー・日本 | PROXES Sport | トーヨーPROXES Sport |
グッドイヤー・アメリカ | EAGLE F1 ASYMMETRIC 5 | グッドイヤーE-F1 |
ミシュラン・フランス | PILOT SPORT 4S | ミシュランPILOT SPORT 4S |
ピレリ・イタリア(注) | P ZERO | ピレリP ZERO |
コンチネンタル・ドイツ | SportContact 6 | コンチネンタルSportContact 6 |
エコタイヤ
ある意味コンフォートタイヤの一部でもあるのですが、最近は燃費性能の向上を図るためのタイヤとして「エコタイヤ」というカテゴリーは完全に認知されていると言えるでしょう。
ではどのように燃費性能を向上させているのでしょうか?
相反する2つの性能を両立させる「エコタイヤ」
タイヤは車の基本動作である、走る・止まる・曲がるを支える役目を担っています。これらの運動は全て地面とタイヤの摩擦によって成り立っていますが、走行中は微小なゴムの「たわむ」「たわみが戻る」という動作が起こっており、これが熱として無駄に浪費されています。
これが一般的に「転がり抵抗」と言われる現象で、これを少しでも抑えることが「無駄なエネルギー消費を抑える」=「低燃費につながる」となります。
必要な摩擦抵抗を維持しながら、無駄な摩擦抵抗を抑えるという、言ってみれば相反する性能を両立させることで燃費性能の向上を図っているのです。
エコタイヤ(低燃費タイヤ)の基準
エコタイヤの基準は日本自動車タイヤ協会が定めたグレーディングシステム(等級制度)で、一定以上の基準を満たすことで認定されます。
転がり抵抗の少なさを示す等級が「A」以上(最高は「AAA」)で、なおかつウェットグリップ性能が「a」「b」「c」「d」の範囲内のタイヤです。つまり雨で滑るような危険なタイヤじゃダメなんですね。
各タイヤメーカーのエコタイヤ
昨今のエコ意識の高まりからか、タイヤの低燃費性能も大きく向上しました。先ほどの基準を満たすタイヤも各メーカーから販売されています。
しかし、このエコ性能に関しては日本のタイヤメーカーが優位性を持っているようで、特に転がり抵抗「AAA」でウェットグリップ性能が「a」を満たすタイヤは全て日本メーカーのタイヤです。
意外と日本の技術も捨てたものじゃないのね。
そうですよね。日本人として誇らしく思いますよね。
その最高性能のエコタイヤは下の表の4つのみです。
メーカー名・国 | 製品名 | 公式HP |
ブリヂストン・日本 | ECOPIA EP001S | ブリヂストンECOPIA |
ヨコハマ・日本 | BluEarth-1 EF20 | ヨコハマBluEarth |
ダンロップ・日本 | エナセーブ NEXTⅢ | ダンロップ・エナセーブ |
トーヨー・日本 | NANOENERGY 0 |
まだまだあるタイヤの種類
ここまで主に乗用車用のサマータイヤについて解説してきました。まだまだ種類はあるのですが、ここでは簡単に触れておきます。
スタッドレスタイヤ
タイヤと言えば「サマータイヤ」と「ウィンタータイヤ」が2大分類でしょうし、ここまで読まれた方の中には「スタッドレスタイヤは?」と思われた方もいるでしょう。
詳しくは別の機会に解説しますが、冬用のタイヤと言えば「スタッドレスタイヤ」です。読んで字のごとく「スタッド(鋲)の無いタイヤ」です。
昔はスノータイヤに金属製のスパイクピンを埋め込んだ「スパイクタイヤ」が冬タイヤの主流でしたが、スパイクが舗装路を削り発生する粉塵による健康被害が深刻になり、1990年に施行された法律でスパイクタイヤの使用が規制されました。
それに代わって冬用のタイヤとして主流となったのが「スタッドレスタイヤ」です。近年、性能の進化は著しいのですが、やはりスパイクタイヤと比較した場合の弱点はあるので、運転に当たっては過信は禁物です。
オールテレーン(マッドテレーン)タイヤ
主にオフロードや悪路を走行するためのタイヤです。イメージとしては軍用車両に装着しているようなタイヤです。
オールテレーンタイヤは日本語で「全地形タイヤ」とも呼ばれるタイヤで、少なからずオールシーズンタイヤ(全天候タイヤ)と混同されてしまいます。
両者は別物で、日本でオールシーズンタイヤは全くマイナーなのですが、アメリカやヨーロッパでは意外と普及率が高く、予期せぬ降雪などへの備えとして需要が高いようです。
オールテレーンタイヤやマッドテレーンタイヤは、主にクロスカントリー車などに装着されます。公道での走行については騒音や乗り心地など、一般のタイヤに比べ不利なのですが、正直なところ「ファッション性」で装着することが多いのだと思います。
(おまけ)タクシータイヤ
みなさんタクシーに装着されたタイヤを真剣に見たことはあるでしょうか。ものすごく横幅のない細いタイヤを装着しています。
エコタイヤのところで説明しましたが、タイヤの抵抗を減らせば燃費は良くなります。そしてタイヤは幅が細ければ細いほど、接地面積は少なくなり抵抗は減ります。
そうタクシーは燃費向上のため、あのような細いタイヤを履いているんです。逆に細いことにより、急ハンドルを切った時の応答性やブレーキの効きなど、犠牲になる部分もあります。
まとめ
タイヤについて解説してきましたが、今回はサマータイヤで一般的に選ばれるカテゴリーをメインにしました。
実はタイヤは知れば知るほど奥深く、安全を支える大事な消耗品だという事がよく分かります。また乗っている車と合わないタイヤを履くと、車が持つ本来の性能も発揮できません。
この記事がタイヤの悩みや、何を選ぼうかという選択のお役に立てたら幸いです。